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SPA!という人が書いているブログのようなもの。主な内容は電波ですが、RPGツクールとか、ゲームの縛りプレイ(難度的なものではなく、嗜好的なもの)とか、やりたいことを適当に垂れ流しております。
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【家から歩いて5分のところ】
 
 雨降りの朝、駅に向かおうと歩いている途中、一羽の大きなカラスと出会う。
 そいつはゴミ収集所に積まれているゴミ袋に頭を突っ込んで、ガサゴソとなにやら漁っている。
 

 ---そうか、それがお前の朝飯か。
 

 特に気にすることも無く、その脇を通り過ぎようとした。生ゴミを漁るカラスなぞ、特に珍しくも無い。
 
 
 不意にそいつはキリっと俺を一瞥すると、飛び立つこともなく、軽やかな足取りでチョンチョンと車道側に降りていった。
 
 ちょうど俺に道を譲るような感じで。
 そして三度だけ、小馬鹿にしたようにカァカァカァと鳴いた。
 
 
 ---大丈夫だ。俺はお前の飯のジャマをするつもりもない。だから、俺の出社のジャマをしないでくれよ?
 
 俺はそいつの存在に何も気づかなかったかのように振舞い、歩みを進めた。
 

 ふと、奇妙な感覚を覚えた。
 俺は食うために仕事する。こいつは食うためにゴミ収集所を漁る。俺は仕事場に行くために電車に乗り、こいつはその黒い翼で自由に空を飛んでいく。
 

 なんだ、大して変わらんではないか。
 

 少しだけ歩いてチラリと後ろを振り返ると、テカテカと光る真っ黒な羽毛が相変わらずビニール袋の中でもぞもぞとしていた。
 
 まったく不思議な愛嬌のあるやつらだ。
 カラスの生態なぞ詳しくは無いので、巣とかどこら辺に作ってるのかは知る由も無いが、せいぜい逞しく生きてってくれよ。
 
 

 だが、俺は忘れていないぞ。
 
 半年前、この場所で、お前らの同属に排泄と言う名の空爆を喰らったことを。
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